共同住宅での喫煙問題
東京都では、2020年4月1日から「東京都受動喫煙防止条例」が施行され、飲食店などの公共施設だけでなく、住宅における喫煙への関心も高まっています。近年は健康志向や感染症対策の影響で、禁煙を望む入居者が増え、喫煙に対する社会的な目は一層厳しくなりました。
アパートやマンション経営でも、喫煙によるトラブルは増加傾向にあります。特に多いのが、「バルコニーでの喫煙により洗濯物にタバコの臭いが付着する」「吸い殻のポイ捨てが敷地や共用部に残される」などの苦情です。
喫煙者には「喫煙場所を変えていただく」または「室内外での喫煙を控えていただく」ようお願いを繰り返し行いますが、愛煙家の方は簡単に習慣を改められないため、管理会社やオーナーとのやり取りが長期化することも少なくありません。
また、喫煙自体は現行法で禁止されていないため、強制的に中止を命じることは困難です。とはいえ、放置すれば非喫煙者の退去や空室リスクが高まり、家賃収入が減少する可能性があるため、適切な対応が重要です。
喫煙の特約で抑止する
喫煙によるトラブルを未然に防ぐには、新規契約時に「喫煙に関する特約」を契約書へ明記するのがおすすめです。実際、近年では管理会社の約6割以上が、入居時に喫煙ルールを明確に示す運用を導入しています。(2023年不動産管理会社アンケート調査より)
(参考)弊社で使用している特約の一例を紹介します。
特約例:「喫煙による汚損、臭気、破損については、借主の責任と負担において原状回復を行うものとする。また、本物件(共用部分を含む)での喫煙に関し、近隣から苦情が出た場合には、速やかに喫煙場所を変更する、又は本物件での喫煙を中止する等の対処を行うものとする。」
こうした文言を契約書に入れることで、喫煙を抑止しやすくなると同時に、実際に苦情があった際も契約根拠に基づきスムーズに対応ができます。なお、既存入居者に対しては新たに特約を設けるのは難しいため、条例や社会情勢を丁寧に説明し、理解と協力を得る姿勢が求められます。
電子タバコの注意点
電子タバコは、紙巻タバコに比べて煙や臭いが少ないため、トラブルの発生頻度は低いとされています。実際、2023年の厚生労働省の調査では、電子タバコによる苦情は紙巻タバコの約3分の1程度にとどまっています。
そのため、喫煙トラブルが繰り返される場合、紙巻タバコから電子タバコへの切り替えを提案するのも一つの方法です。ただし、電子タバコについても健康リスクや匂いの問題が完全に立証されているわけではなく、共用部での使用を制限する物件も増えています。
トラブル防止のためにも、電子タバコであっても周囲に影響が出る場合には利用を控えていただく可能性があることを、事前にしっかり伝えておきましょう。
喫煙トラブルの対応策
- 対応策①:新規賃貸契約書に喫煙に関する特約を必ず盛り込み、入居前に説明する。
- 対応策②:喫煙行為を一方的に責めるのではなく、他の入居者に実害が生じていることを丁寧に説明する。
- 対応策③:紙巻タバコを電子タバコに切り替える提案を行い、状況改善の経過を観察する。
喫煙問題は非常にデリケートですが、放置すれば建物全体の資産価値や入居率にも影響を与えます。管理会社やオーナーとしては、契約時の予防と、トラブル発生後の冷静な対応を徹底することが求められます。















